藍底過背金龍、ブルータイプとは、
成長しても鱗框の金発色が鱗の内側、鱗底に侵食せず、鱗底のブルーが残る個体を指します。
よくその名前は耳にしますが、実際に見る機会は非常に少ないのではないでしょうか。
では、そのような個体の幼魚はどのような個体なのか?
それは鱗の第一鱗框にのみ金発色が見られる細框(さいかく)と呼ばれる個体です!  
上の写真は約20cmサイズのクレンブルーです。
通常このサイズになると鱗框にくっきりと金発色が見られてきますが、
この血統の個体群では、髪の毛より細いのではないかというレベルの金発色が、
鱗のエッジの部分にわずかに見られるのみです。
え? "上がりも悪いし、紅尾金龍に見えますが。。" ですって!?
そのとおりです。純血の藍底個体は上がりが悪いほうがよりブルー個体になる可能性が高いですね。
5列めもまだちらほら、基底鱗も真っ黒、これでいいんです。
純血の過背金龍同士から産まれた幼魚であれば、年月をかけてちゃんとあがっていき、
成長後には見違えるような美しい姿を見せてくれます。
最近出回っている過背金龍は、私の知る限りではその大部分が
”レッドアロワナ””紅尾金龍”バンジャール””グリーン”とのクロス血統であると言えるでしょう。

クロスブリード個体が増えた結果、
”幼魚期から上がりがいい””スプーンヘッド体型の金龍が見られるようになった”等の進歩も見られるようになりました。
しかし、その反面本来過背金龍が持っていた、24kカラーの金箔を貼ったようなベタベタの濃い金発色は失われ、
白金のような発色や銅色の赤みを持つ個体が多く見られるようになりました。
国内でも10数年前に出回っていた本来の過背金龍は、
幼魚期には写真のような見た目の悪ーい!?過背金龍でした。

尾びれがダブルテールになっていない
金発色が背部まで巻かないというのは、紅尾金龍の血が入っている可能性があるからです。
 純血の紅尾金龍自体も少なくなりましたが、古い写真等で確認すると紅尾金龍の尾びれは、
 上半分が黒っぽく、下半分が赤茶色い色をしているのが確認頂けると思います。
 純血の過背金龍では、そのような色の変化が少なく前面が同色で染まっている場合が多いです。
グリーンの馬蹄模様
グリーンの馬蹄模様が入っているからグリーンアロワナとのクロス?
 違います。野生の藍底過背金龍にはこのような馬蹄模様が見られる個体が多いです。
 この模様が濃い個体のほうが、将来の金発色、青発色ともに濃いような。。。
くっきりと鮮明なタイガーパターン
後方三ヒレの上下のヒレに、条にクロスするように黒いはっきりとしたストライプが見られます。
実際に見ると、ヒレがヒョウ柄のようになっています。
昔はこんな個体が多かったんですけどねぇ。
鱗のエッジの部分の断面付近にご注目!非常に細い金発色が見られます
 
細い鱗框とグラデーションのない鱗底
真の藍底個体は、かなりのサイズ、年齢まで細框の状態が維持します。
 20cmサイズ位では、髪の毛より細いような、しかも内側ににじみのない金発色が見られる程度です。
鱗底はグラデーションがほとんどなく、ほぼ一色で染め上がっています。
後に金が侵食してくる個体は、第二鱗框と鱗底部の色が違う、グラデーション状になっている個体が多いです。
20cm代位で、5列目巻き上がり、基底鱗バキバキという個体は、のちに金発色が侵食するケースが多いですね。
成長が遅ーい
原種血統の個体は、一般的に警戒心が強く成長の遅い個体が多いです。
現地養殖場では、オスの3歳位で45cmというサイズが一般的なようです。
アロワナではあまり語られることは少ないですが、ディスカスを例に挙げると、
ブルーダイヤモンド等の改良の進んだ血の濃い血統個体は、完成が早く、
その代わり老いも早く5歳程度の寿命であることが知られています。
しかし、原種のディスカスは寿命が12〜13年とも言われ、その代わりじっくり時間をかけて成長していきます。
アロワナでもこれに近い現象が見られるようです。
上の写真はごく弱いフラッシュを当てて撮影した写真です。
店内では上部ライトでストックされているので、実際にお店で肉眼で見る状態に近いです。
体色は黒こげていますが、その細い金発色は見て取って頂けると思います。
更なる詳細情報は6月末発売予定の
”AROWANIA VOL.17 神龍ファームレポート(当店大谷執筆)”
ピーシーズ刊にて掲載!!必見です!!
 
あーしかし見た目の悪い個体ですわ。。。
これらの知識がないと単に黒くて怪しいアロワナですもんね。
パッと見、もう金龍かどうかさえわからないかもしれませんな。ほんっと売りにくい個体ですっ!
やっぱり親魚持って来なくてはだめかなぁ。。。
minima breeder shirakuraさんのところにいった親魚ほんときれいだしなぁ。。
この minimabreeder shirakura様 展示魚
3歳 約45cmになった時点でも細框が維持し、
鱗底のブルーはしっかりと維持している。

真っ赤に光る眼も、この血統の特徴である。
このエリアの方々にも見てもらいたいし、今度入れよかな。。う〜〜〜ん・・・・
あーもう売れなくてもいいや!?飼育してしまおう!
.......いや、熱ーい藍底マニアの方々ぜひお問い合わせ、ご来店をお待ちしております。熱ーく語りましょ。
店頭には10年以上前のアロワナ専門誌を置いて、熱く語りたいわたくしが待っております。
買わなくてもいいんで!?ぜひ遊びにきてください。
余談ですが、ご来店、お問い合わせ頂くお客様の声で多いのが、”もっと若いと思ってました”です。
いや、TOPページでタバコ持って怪しく写ってりゃ何者かわからないかもしれませんが、
今年でなんと”38歳”になってしまうのですね。。。あー時が経つのは早い早い(。。。遠い目)
まあ簡単に言えば”おっさん”ですね。
ほんとに余談でしたが、しがないお店ですがぜひ遊びにきてくださいね。
〜 ご 注 意 〜
上記の内容は、あくまでわたくし自信の見聞による経験に基づくレポートです。
生物学的に確証付ける文献ではありません。
また、クロスブリード個体は”美しさ””ニーズ”を追求して産み出された血統であり、それらを否定するものではありません。
ただ、近年の市場において曖昧な情報が錯綜する中、明確にその分類を定義づける必要を感じて書き上げたものです。